彼女の手の熱は,ワイヤードの方が感じられる。
quote:ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームが,他者が感じた触覚をインターネットを介して転送することに成功した。この技術は,通信教育や遠隔診断,バーチャル・リアリティやエンターテインメントといった分野に応用される。
実際問題として,ここ,で感じる触覚をあちら,で感じるというような使い道よりも,どこにもない触覚を感じる,という使い道の方が増えてきそう。つまりはまったく仮想の感覚。オンラインゲームで,すべての感覚を受信するハプティックスーツのようなものを装着すれば,じりじりと照る日差しの強さから,正体不明のモンスターに触ったときの感覚,切りつけられた痛み,ヒーリングの魔法が身に染みてくる様子,などが得られる。そこでは,リアルと同じ感覚を感じる必要はなく,全身すべてで今までにない感覚をのみ,受け入れることができる。
ここ,とは違う感覚に満ちた世界。触覚だけでなく,臭覚,味覚もある世界。現在のような,視覚と聴覚しかない世界では,それはただのおもちゃ,ゲームとしか映らないけど,五感で感じ,六感の存在を感じられるようになれば,生きるにたる世界となる。ワイヤードはリアルのサブシステムではない。朽ち果てたリアルから逃げる,そして潰すための空間となる。
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